農林水産航空協会(農水協)は、ドローン(マルチローター式小型無人航空機)の安全適正な運行基準を策定し「マルチローター式小型無人機による農薬散布の暫定運行基準」を公表
日本の農業は人手不足高齢化が進むなか、TPP環太平洋連携協定が大筋合意したことで、国際競争力を高めるための効率化の必要が大きな課題となっている
農業用ドローンを使った農薬散布、肥料散布、農地管理システムの実用化は農業の新時代を拓くものと期待されている
農業用(農薬散布用)ドローンの価格は小型で低価格の機種では100万円以下~大型の機種では1000万円以上と幅が広い
2015年12月に施行された改正航空法では、これまで航空法の規制対象外だった無人航空機が規制対象となり(重量200g以下の機体を除く)、飛行禁止空域などが定められた
これにより人口密集地で農業用ドローンを含む無人航空機を農薬散布等に利用する場合には、事前に国土交通大臣の許可承認を受けることが必要となった
農水省では、以下のような空中散布等における無人航空機利用技術指導指針を制定した
機体性能確認
○製造者(輸入者)が作成する仕様書のとおりであることを確認した上で、50m×30mの空域を設定し、GPS等の位置安定機能を使用しない状態で、離着陸、上昇下降、水平飛行、ホバリングの安定性を判定する
○時速15kmで距離50m、散布幅4mの設定コースを模擬散布飛行し、その間のコースからのズレが50cm以内であること
○通信推進系統、電源や自動制御系統に不具合が生じた場合は、即時に着陸する機能などで、危険を回避できること
耐久性能
○20時間以上の運用実績の間、大きな不具合が発生しないこと
○製造者が機体各部分の耐久年数を保証すること
○機体を整備することにより100時間以上の飛行耐久性を有すること(最大離陸重量25kg以上の機体にのみ適用)
散布装置性能
○農薬散布の開始停止を迅速かつ容易に行える操作性を有すること
○吐出量0.8L/分を目安に1時間当たりの散布量8Lの均一な噴霧の確保ができること
○農薬により腐食しない耐久性があること
○配管系統やノズルからの漏れがないこと
○散布作業終了時にタンクや配管等に農薬が残留しにくい構造であること
2016/3