農薬散布用ドローン 農業用ドローンの国内市場が急拡大している
従来の農薬散布用無人ヘリは価格が1000円以上と高額でコスト面で導入し難かった
また、運用上も小回りが利かず、日本特有の狭小農地、変形農地、山間部の農地では農薬散布効率が悪かった
昨今、小型で低価格の農薬散布用ドローン、農業用ドローンの開発が急速に進み、100万円以下の機種も販売され始め、コスト面での問題も解消されつつあり、小規模農家でも農薬散布用、農業用ドローンの導入が急速に進んで来ている
農薬散布など農業分野で農業用ドローンの活用に関心が高まっている
農林水産省は農業用ドローンの安全な飛行と農薬散布を行うため、農業用ドローンの取り扱いに関する指導指針を追加した
農家の高齢化人手不足が進む中、農業用ドローンの活用が農作業の効率化につながると期待されている
今月群馬県で開かれた、ドローンメーカー主催の講習会では農家が参加し、農業用(農薬散布用)ドローンの飛行訓練を行った
世界的にも農業用ドローン、農薬散布用ドローン市場が急成長、しかし問題点も
世界的ドローンメーカーでもある中国のDJIは、農業に特化した同社最初の農業用(農薬散布用)ドローン DJI Agras MG-1を開発した
DJI Agras MG-1は高機能な農薬散布用ドローン
価格は約180万円ほど
Agras MG-1は、強力な推進システムで、農薬、肥料などの液剤を10kgまで搭載し飛行することが可能
10分で4000~6000㎡に農薬肥料散布することが可能で、手作業と比べ40~60倍のスピードで散布作業を行うことができる
インテリジェントスプレーシステムを搭載し、飛行速度によって農薬肥料散布量を自動的に調節、常に均等に散布することを可能
これにより、農薬、肥料の量を厳密に調整することが可能で、薬剤の過剰投与を防ぎ、無駄な散布をなくしコストを削減することが可能
農薬散布用ドローンは、ほこりなどで腐食劣化しやすいため、機器の寿命が短く、メンテナンス費用が高い
Agras MG-1は劣化を防ぐため、密閉されたボディを備え、遠心冷却システムで効果的に機体を冷却、飛行中、粒子状物質の侵入を防ぐ三重フィルターシステムを備えた機体前部の吸気口から、周囲の空気が機体内部に流入する
流入した空気は、機体のアーム部からモーターに至るまで機体全体を通過、機体内部の熱を外部放出する
冷却システムとフィルターによる防塵効果により、各モーターの寿命を通常の3倍まで伸ばすことが可能
アメリカの大規模農家では農薬散布用ドローンの有効性について一部懐疑的な見方もある
Agras MG-1は大規模農家を対象としておらず、小規模、中規模農家を対象に設計されており飛行時間が12分、積載可能な農薬の重量が10㎏しかないため、1時間で60エーカー(約24ヘクタール)しかカバーできないことになる
アメリカの広大な面積を誇る大規模農家では散布効率が悪い
アメリカの農家の平均敷地面積は420エーカーほどあり、アメリカの農作にはAgras MG-1のような小型ドローンは適さないと見られている
アメリカの大規模農家関係者の間ではAgras MG-1のような小型ドローンは積載量の少なさと散布範囲の狭さでは大規模農地には適さないとの見方が支配的だ
農業用ドローン、農薬散布用ドローンは中小規模農家にとって農薬散布作業の効率化省力化になると期待されているが、現時点の能力では大規模農家向けではない
アメリカの大規模農家の一部では農業用ドローンを作物の生育状況管理用に用いている
ドローンは産業用ヘリと比べ低空飛行が可能でより高解像度の画像データを取り込むことが可能
作物の生育状況を調査するのに極めて有効である
農業用ドローンにより毎日、農作物の生育状況を把握し、病害虫、雑草に関するデータを分析解析でき、ドローンを利用する価値が高い
農薬、肥料の散布箇所特定に非常に有効であり、低農薬農作物の栽培、農薬肥料のコスト削減にも役立つ
アメリカではドローンは目視距離内で飛行させなければならないという制限があり、人の監視なしで完全自律自動型農業用ドローンを飛ばすには規制緩和が必要になってくる
2016/7